ハレゾラ

ちょっと恥ずかしくなって周りを見渡してみると、3組程カップルがいた。
が、皆、自分たちの世界に没頭していて、私たちの事なんか気にもかけてい
ないみたいだ。

(じゃあいいか……)

私も少しだけ大胆になってみようという気持ちが膨らんでくる。グッと背伸び
をして、彼の耳元に唇を近づけ囁いた。


「私も好き……」


そう言って、彼の耳と頬に甘いキスをして気持ちを伝えた。
彼はビックリしたように一瞬目を見開いたが、すぐに優しい笑顔に戻ると
「もうすぐ夕陽が沈むよ」と言って、手を繋ぎ直した。


対岸の山の先端をなぞるように輝きながら沈む夕陽……。二人で一緒に南京
錠を持ち、ガチャリと鍵をかけた。

(永遠に離れない……)

そう、もう一度心に誓い彼の顔を見ると、何か伝わったのか、うんと力強く
頷いてくれる。
私にとって忘れられない場所になりそうだ。

(またいつの日か、彼と来れますように……)
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