ハレゾラ
「もう少ししたら、この近所の修理工場の人が車を取りに来てくれることに
なったから。で、僕たちはと言うと」
「言うと?」
「いつまでもここにこうしてる訳にもいかないから、今晩は一番近い温泉宿に
泊まることにした。いい?」
「いい?って……。それって決定事項でしょう」
少し呆れながらそう言った。彼、そう言うところは強引だから。
「僕の事、だいぶ分かってきたみたいだね」
ニヤニヤ笑いながら、私の頭をなでなでする彼。
はいはい、わかりますよ。小悪魔君、再登場!!
そうしていると、一台のタクシーがやってきた。彼に促されてそれに乗り込む。
「○○温泉の○○旅館まで、お願いします」
運転手に目的地を告げると、私にピタッと寄り添い耳元に顔を近づけてきた。
そして小さい声で囁く。