ハレゾラ


『 野口翔平 ・野口咲 』


顔が一気に赤くなる。そ、それって夫婦みたいなんですけどぉぉぉっ。
勝手に顔がニタニタしてしまう。気付かれないように俯いていると、女将さん
が慌てて近づいてきた。


「お顔が赤いようですけど、どこかお辛いところはありませんか?」


きゃーーーーーーっ!! バレてたっ!! 恥ずかしいーーーーーっ!!
彼はきっと、私がこうなる事を分かっててやってるんだ。


「だ、大丈夫です!」


声、上擦っちゃってるしっ。
彼に助けを求めようと顔を見ると……。彼、声を堪えて笑ってるし!

恐るべし、年下小悪魔。


「遠慮せず何でもおっしゃって下さいね。ではお部屋にご案内いたします」


なんとも柔らかい笑みを湛えてそう言ってくれるから、申し訳ない。

あの小悪魔め、あとでガツンと言ってやらねば。

涼しそうな顔の彼をキッと睨み、女将さんの後をついて行った。
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