ハレゾラ
「お食事はすぐに用意してもよろしいでしょうか? お風呂に入られますなら
時間おくこともできますが?」
「時間も時間なんで食事を先にします。いいでしょうか?」
女将さんは「はい、結構ですよ」と頷き、部屋を出て行った。
「翔平くんっ! この部屋一泊いくら?」
焦ってしまい、唐突に聞いてしまった。
おでこを指でピンッと弾かれる。
「痛っ!」
「そんなこと聞かれて、金額言う男がいると思う?」
「だ、だって……」
「僕が咲さんと泊まりたいって思ったんだからいいでしょ。嬉しくないの?」
「嬉しい……けど」
「ならいいじゃん。それに、誰にも邪魔されず一緒にお風呂は入れるしね?」
はぁ!? 今、一緒にって言った? 私の聞き間違いじゃないよね?
「無理っ! そんなの恥ずかし過ぎるっ」
「そっかぁ~残念~」
って、ぜんぜん残念そうじゃないんですけどっ! その顔は、絶対に何かを
企んでるでしょ。
そしてその態度で、私はフロントでの一件を思い出した。