キケンだらけの課外授業~私の周りは不良がいっぱい!?~
絶対安静どころか……


いつもの調子でエラそうな態度の伊勢谷陣に、佐和先輩は脱力したように苦笑する。




「はぁ、なんだよ心配して飛んで来て損した」



「んなに心配したのか?」



「当たり前だろ?未唯ちゃんもずっと不安だったんだから」




佐和先輩はそう言ってあたしの肩をポンとする。





いまだに固まっていたあたしは目を覚ましたようにびくっとした。


伊勢谷陣はあたしを見る。




「んな泣くことかよ?」


「!」


「ほら見ろ、俺はこんなに元気だっつーの」




折れていない左手を広げピラピラさせる伊勢谷陣にあたしの目からはポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。





「だって…伊勢谷陣が…大ケガとか…死んじゃったかと…思って」




あたしは両手で涙を拭いながら必死に喋る。




「もう二度と…伊勢谷陣に会えないかもって…あたし…すごく怖くて…」



本当に怖かった。

すっごく心配したんだから…




「泣くに決まってるじゃん…バカぁ…うぅ…あぅ…」






そして


あたしはついに嗚咽を堪えきれずワンワン泣いた。

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