Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜
“俺、咲が好きだよ”

“咲じゃなかったら、みんな同じだ”


“咲は俺が嫁にもらう。そのつもりだから”



…そんな風に言われて、嬉しくないわけないじゃない。


それがたとえ冗談だとしても、今までそんなまっすぐに気持ちを言われたことなんてないから…


こんなにも“私”という存在を、求められたことなんてないから…



今まで恋愛経験なんてないんだから、舞い上がってしまいそう。




…だけど私は“大人”だから、

5歳も年下の涼相手に、自惚れたくない、舞い上がりたくないって必死になって抑え込む。


…結局、私はどうしたいのだろう。


涼と幼なじみのままでいたいのか…


それとも、それ以上の関係になりたいのか。



私は涼のこと、好きなのかな…。


それすらわからないって、私はやっぱりおかしいのかな。


…だけど分かることがひとつだけある。


私は、涼を傷付けてばかりだ。

こんな思いやりがなくて、自分のことしか考えられない私を、涼は一体どこが好きなのだろう?


てゆーかもう、私のことなんて好きじゃないかもしれない……。




そう思ったら、胸がチクンと痛んだ。





---------…


あれ以来、涼は私を避けるようになった。

電話をしても出ないし、メールも返ってこない。

生活のリズムも違うから、ほとんど顔も合わせなくなった。



…本当に涼を傷付けてしまった。

日を追うごとに、その思いが強くなる。


このまま、何もなかったみたいに終わっちゃうの?


幼なじみに、戻るの?

前のように戻れるの?



どうしよう。


涼に、謝らなきゃ。


でもどうやって?


てゆーか遅くない?

今更何だよって感じじゃない?


幼なじみって言ってごめんね。


弟みたいって言ってごめんね。


私の方が年上なのに、涼を傷付けてごめんね。


…そう伝えたいのに、勇気が出なかった。



だけど、涼に会いたい。

涼の顔がみたい。


抱きしめてくれなくて良いから…


キスしてくれなくて良いから…


ただ、いつもみたいに頭をポンと叩いて、

バカでもアホでも何でも言ってよ。


私は、怒らないから。







そんなことをぐるぐる考えながら、一週間が経った。


涼のことを思ったらなかなか寝付けなくて、仕事中も気付いたらぼーっとしてしまう。


こんなこと、初めてだ。












< 19 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop