Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜
「ねぇ、咲…咲ってば!」
「えっ?あ、ごめん、何?」
ミカの声に私は驚いて返事した。
「総務課のクライアントミーティング、15時から第一会議室って聞いてる?
予約したのに今システム開発部が使ってるって連絡入ってるんだけど」
受話器を片手に、ミカが聞いた。
「15時から…え、私予約入れたはずだけど」
昨日総務課からの依頼で、会議室の予約を取った。
電話口で確かに15時って…
ミカが予約票を開きページを確認する。
「確認いたしましたら、誤って明日となっていました。
申し訳ございません、はい、こちらのミスです。
はい、今18階の総合会議室か空いていますので、そちらでお願いできますか?
申し訳ございません」
ミカが受話器に向かって謝った。
予約票には、確かに明日の日付となっている。
私、日付を間違えて予約してしまったんだ…。
ーーーーーーー…
「本当に申し訳ございません」
「もう、次からは頼むよ?
クライアントとの大事なミーティングなんだから」
「はい、以後気を付けます」
私は総務課の方に何度も頭を下げた。
「高宮さん、最近上の空なことがよくあるけど、受付の仕事は会議室の予約だけじゃなく会社の顔でもあるんだから、これからは気を引き締めてね」
「はい、申し訳ございません」
受付の先輩にもそう釘をさされ、私はまた頭を下げる。
…あぁ、最悪だ。
仕事に支障をきたすなんて、絶対にしたくなかったのに。
「ミカ、今日はごめん…迷惑かけて」
ロッカールームで着替えながら、私はミカに謝った。
「分かってるんでしょ?自分で。
涼君のことばかり考えちゃうって」
「そんなんじゃ……」
否定しようとしたけれど、言葉が途切れた。
「咲、苦しいでしょ?
仕事に身が入らないくらい、気持ちぐちゃぐちゃなんでしょ?
でもね、それが“恋”ってものなの」
「え…」
私は顔を上げてミカを見る。