Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜

優兄ちゃんの顔を見たらなんか安心して、張り詰めていた糸が切れたみたい。


涙は次から次へと流れ出す。


「うっ、うぅ〜」

「ど、どうした、急に?咲、大丈夫か?」


急に泣き出した私を見て、優兄ちゃんは驚いているようだった。


「うっうっ、わ、私、最近全然ダメなの。

大人なのに…もっとしっかりしたいのに…」

「咲、お前は昔からそうだけど、咲は充分頑張ってるだろ」


私は首を横に振った。


「全然…私なんか全然ダメだよ。

自分のことでいっぱいいっぱいで、すぐ周りが見えなくなるし…


相手のことまでちゃんと考えられない自分勝手な人間だもん」


優兄ちゃんが、そっと私の頭を撫でて言った。



「誰だってそんなもんだよ。
余裕のあるやつなんて、大人でもなかなかいないよ」

「…でも…涼だってきっと呆れてる…“大人のくせに”って…

こんな子どもみたいな私、ヤダぁ…」


涼の前では、大人でいたい。

こんな弱虫な私、涼には知られたくない。

だって私がこんなだったら、涼は誰に甘えるの?


いつも冷静で、ぶっきらぼうで、私なんかよりしっかりした涼。


だけどその性格が、私を守るために形成されたものならば…

私には、甘えて欲しい。



大人ぶらなくていいから…

私を守ろうとしなくて良いから…


私の隣に、居てほしい。




「咲、大人だとか子どもだとか、そんなことにこだわっても仕方ないよ。


大切なのは、自分の気持ちに素直になることだ」


「…素直?」


「そう。自分の気持ちに素直になる。

そうすれば自ずと、相手を思いやれる」





……そうだ。


私は、自分の足で歩くと決めた…

自分の気持ちに正直になるって決めたのに……

自分の気持ちを見失ってばかりだった。


だけどやっと、わかった気がする。
















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