Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜
「ありがとう、優兄ちゃん」
涙を拭って、顔をあげた。
その時、視線の先に涼の姿があることに気づく。
「涼!!」
涼は目が合うと、表情を歪め走って家の中に入っていった。
「涼もまだまだガキだからなぁ」
優兄ちゃんがやれやれとため息まじりで笑う。
「咲、あんな弟だけど涼の気持ちは本物だよ。
兄貴の僕が保証する」
私は涼の後を追った。
家に入り、階段を上がる。
2階奥が涼の部屋。
私はノックもせずに勢いよくドアを開ける。
涼はベッドのに座って、驚いて顔を上げた。
「なんだよ!勝手に入ってくんな!」
「ずっと無視してたのは涼の方でしょ?!
私の話、聞いてくれたって良いじゃんか!」
「何を聞くんだよ!
結局咲は、兄貴なら甘えられるんだろ?
兄貴の前ならそうやって泣けるんだろ?!
どうせ俺は弟だから…なんで、俺には…」
「涼…」
涼は悔しそうに言った。
膝の上で力一杯こぶしを握っている。
その様子が、何だか泣くのを我慢しているようだった。
そっか…
涼も気にしていないワケじゃなかったんだ…
本物は、平気なんかじゃなかったんだ。
「そりゃ俺は兄貴みたいに大人じゃねぇし、うまく優しくも出来ないけど…
だけど俺だって咲のこと、守りたいって思ってんだからな」
「…涼…わかったから」
「わかってねぇよ!!」
涼が私に向かって怒鳴る。
その瞳は、今にも泣だしそうだった。
「咲は全然わかってない!
俺、咲のこと好きって言ったよね?
これからは俺がずっと咲のそばにいるって言ったよね?!
それがどういうことか、咲は全然わかってねぇよ」