Sugar × Spice Ⅱ〜恋人は年下幼馴染〜
「…わかんないよ」
私は静かに返した。
「だって仕方ないじゃない。
私、こんな風に好きだって言われたのも、抱きしめられてキスされたのも、涼が初めてなんだよ?
デ、デートだって、2人きりになるのだって、有りえないくらいドキドキし過ぎて苦しかったの!
なのにあんたは平気そうだし、私の方が年上なのに私ばっかりドキドキしてんじゃないかって、悔しかったの!」
どうして好きだって、そんな簡単に言えるの?
どうして、そばにいるだなんてそんな簡単に言えるのよ。
私が迷って見失ってやっと見つけた答えを、
涼はどうしてそんな簡単に見つけられたの…?
涼がベッドから立ち上がり、私の前に立った。
「…咲にとって俺って何?
単なる幼なじみ?それとも弟?」
「…涼は涼だもん。けど…」
「けど?なに?」
何と表せばいいのか、言葉が出てこなかった。
「…俺、まだ学生だし、ガキだし、頼りないかもしれねぇけど…
咲に嘘は言ってないよ」
「…うん」
涼の手のひらが、そっと私の頬に触れる。
暖かく、優しい体温。
「…だから、俺の前で泣いたっていい。
俺はどんな咲も、笑ったりしない」
「うん」
「…あと、もう絶対兄貴の前で泣いたりすんな、バカ」
「…うん、うん」
私はギュッと、涼の胸に抱き付いた。
…いつのまにか、こんな頼もしくなっちゃって。
だけどちょっぴりわがままで、ヤキモチやきで…
私を必死で守ろうとする、強がりな王子様。
…愛おしいって、こういうことなのかな。
「へへっ」
私は涼の胸の中で笑った。
「何笑ってんだよ、キモチワリイなぁ」
「だって〜」
「…お前、もう触っても平気なの?」
「へ?」
私はキョトンとして涼の顔を見る。
「だって咲、ずっとビクビクして怖がってたじゃん」
「あぁ、あれは怖いとかじゃなくてドキドキし過ぎて…
涼に触れられると、心臓もたないもん」
「…それって、俺のこと好きってこと?」
涼が私の顔を覗き込むように見た。
私は顔がカッと赤くなる。
「〜っ!
責任、取ってよねバカ!」
「最初からそのつもりだから安心しろ」
そう言って涼はふっと笑うと、
そっと唇を重ねた。
涼のキスは甘い。
唇からとろけるような、優しいキス…