☪ 幸 せ 屋 さ ん .



「先輩・・・あの、明日の事なんですけど」


「嗚呼、ごめん、俺用事入っちゃってさぁ」


いけなくなったわ、と笑う先輩は


まぎれまなく私の彼氏。


無邪気な笑顔がとっても素敵な


自慢の彼、


さっきだって断られてるのに


不覚にもその笑顔にときめいてしまった。


だけど、最近思う。


好きなのは、私だけなんじゃないかと。


「そうですか・・・じゃぁ、また別の日に」


そんな事を思って、


精一杯笑顔をつくってそう言った私に


おう、と言って走り去ってしまう貴方。


「一緒に帰る約束してたじゃん」


届かない言葉を呟いても、意味なんてないのに…


沈んだ気分で一人歩く帰り道は


なんだか、いつもと違って見えた。

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