欲情に足枷
ゆるゆると足首より先を動かしながら映画の様子を窺うと、物語は日常に切り替わっていた。
足の裏から伝わる熱のせいで、彼女の恋の結末は見届けられそうにない。
不満そうにしていた彼へ視線を戻すと、いつの間にか目を伏せ耐える顔になっていた。かと思えば早々と下着越しを求められ、思わず笑ってしまいそうになる。
その熱と欲望を蓄積し続ける畸形な代物を、いつ下着の中から引っ張り出してやろう。
彼が自ら取り出そうものなら、今すぐにこの行為をやめてやるけれど。
急かす男は好きじゃない。
自分の欲望ばかり優先する男は好きじゃない。
彼はそんな私のことをよく知っているから、耐えるのだ。
私は女で、彼は男で、力尽くでも言うことを聞かせることなど訳無いだろうに。彼は眉間に皺を刻んで、時折熱っぽい吐息を漏らす。
普段高圧的な態度ばかり取る彼が顔を歪める瞬間。私の愛撫によって無防備になる瞬間。
それが堪らなく好きで、好きで、いつまでも焦らしていたいと思う。