Black Coffee.
『 ・・・開けて? 』
「 うん、・・・・ん? 」
『 ここ、開けてほしい 』
ドンドン、と部屋のドアが
何度か叩かれて、”は?”と
自分でも信じられないほどに
冷めた声が出た。
『 電話じゃ長いと思って、
来ちゃった 』
電話越しにへらっと笑う紗希に
聞こえるように溜息を吐いて
あたしは玄関の鍵を開けた。
────────ガチャッ
「 朝ぶり~! 」
鍵を開けるなりドアは開いて
抱きついてきた紗希を剥しながら
大量の荷物を家へ入れた。