Black Coffee.
今日も、見つけた。
同じ時間、同じ車両の同じ場所。
栗色の綺麗な髪が目印の彼は
今日も暇そうに窓の外を眺めている。
身長はどれくらいなんだろう。
とにかく高くて、遠くからでも
彼は見つけられる。
いつもは遠くから見ているだけ。
彼を見つけることが日課で、
・・・だけど今日は、少し違った。
本を読んでいる、のに
物語が全く頭に入ってこない。
ページをめくる手は止まり、
あたしは彼を見るのに必死になっていた。
”釘付け”とはまさにこのこと。