Black Coffee.
「 ・・・すいませんっ!
ありがとうございます・・・ 」
拾ってくれるとは思わなかった。
見た感じ、あたしと同じ大学生な彼は
”いいえ”と微笑んで、再度
窓の外へと目を向けた。
初めて、声を聞いた。
少しでも近づきたくて、彼のことを
少しでも知りたくて。
この席に座ったのは偶然なんかじゃなくて、
ただ彼を近くで見たかったから、だ。
あたしにとって、これは大きなチャンスだった。
「 あ、あの・・・いつもここに居ますよね? 」
「 あぁ、なんだか自然とここに
来ちゃうんですよね 」
”変ですよね”と笑う彼は
思った以上に優しい人だった。