Black Coffee.
それからは、もう何も覚えていない。
いつ手を離されたのか、
いつ映画が終わったのか、
終わる頃には何故かお茶は
なくなっていたけど、
あたしが飲んだのかすら分からない。
とにかく、ドキドキが伝わって
いませんように。とそれだけを
願っていた。
「 今日はありがとうございました 」
「 こちらこそ、ありがとうございました。
一日すごく楽しかったです 」
電車を降りて、ぺこりと頭を下げると
彼の手があたしの頭を撫でて、
「 また行きましょうね 」