Black Coffee.
楓くんの話をできるのは
紗希くらいで、話し出すと
止まらなくなってしまう。
昨日のことや、嬉しかったこと、
最近のことを話しながら歩いていると
紗希がやけにニヤついた顔で
再度あたしに抱きついてきた。
「 菜緒ちゃん可愛いっ 」
「 えっ・・・どこが? 」
「 頬っぺた真っ赤にして
楓くんのこと話してるんだもん! 」
”可愛いよ!”と苦しいくらいに
抱きしめられた。
小さくて可愛いのは紗希のほうで
あたしなんか全然なのに、と
内心溜息を零しながらも
紗希の頭を撫でて、”ありがとう”と笑った。
「 菜緒ちゃん、そろそろ
告白してもいいんじゃない? 」
「 ・・・・・え? 」
「 だって、毎日放課後デートして
朝だって一緒なのに嫌いなわけ
ないし、むしろ好きじゃないと
変だよ? 」