Black Coffee.
「 何で謝るの? 」
背中を押してくれただけでしょ、と
メニューを開きながらそう言えば
更に申し訳なさそうにした紗希が
少し唸った。
「 そんなに深く考えてなかったの。
背中を押すつもりだったのに
なんだか”うまくいく”なんて
無責任なことまで言っちゃって
・・・・・ごめんね 」
そうだ。
紗希はこういう子だった。
「 何言ってるの、大丈夫だよ?
それに、ずっと考えてたんだけど
このままじゃだめだよね 」
間違ったことをしたと思ったら
相手が誰でも必ず謝る。
喧嘩したって必ず彼女は自分の
非を先に認めてしまう。