Black Coffee.
喫茶店から彼のいるところまで
それほど距離はない。
だからなのか足取りは重くて遅い。
「 ・・・・・はぁ 」
緊張で溜息が止まらなくて
今から心臓が壊れそうなほどに
ドクドク、と早く動いていて、
途中少し足を止めながら、
だけど、
”頑張ってね、菜緒ちゃん”
応援してくれた紗希の言葉を
思い出せば足は自然と動いて
高鳴る胸を押さえながら、
あたしは喫茶店のドアを開けた。