世界で一番大切なもの
第一章

1 for 葵

「葵、今日落ち着かないね」



ドキッと心臓が一つ鳴る。



「なんかあったっけ?」



京ちゃんの発言に、どんどん心臓が速くなる。



確かに今日のあたしは少しおかしいと思う。



教科書忘れたり、



トイレに行くつもりが職員室に行ってみたり。



なんにもないところで転んでみたり。



普段からドジっ子だけど、今日はさらにひどい。



あたしだって分かってる。



なんだか必要以上にソワソワしちゃってるってこと。



その時、ふと目を向けた空を飛行機が横切っていく。



「あー…」



京ちゃんの声にギクリとする。



恐る恐る京ちゃんを見ると、京ちゃんは同じように空を見ていた。



「今日だっけ、桔平が帰ってくんのって」


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