世界で一番大切なもの
2 for 桔平
ピンポーン。
俺の家とはまた違った、洋風の屋敷のチャイムを押す。
『はい』
「桔平です」
『あらあら、桔平さん?ちょっとお待ち下さいね』
インターフォン越しの会話を終わらせて数秒後、
目の前の大きな門が開き、懐かしい顔が出迎えてくれる。
「お久し振りです、桔平さん」
「元気そうだね、おイネさん」
「お陰様で」
おイネさんは深々と頭を下げる。
「あいつ、います?」
「はい、自室の方にいらっしゃいますよ」
そう言って、おイネさんは家の中へと案内してくれる。
「寝てらっしゃるかもしれないので、お気をつけ下さいね」
寝てるのか。
そりゃ、厄介だな。
…関係ないけど。
「では、また」
「うん、ありがとう」
部屋の前でおイネさんと別れる。