世界で一番大切なもの
ガチャッとドアを開き、部屋に入ると雑誌を読んでいた京介と目が合う。



「あ、」



「起きてんじゃねーか」



「来るだろうと思ってたから待っててやったの」



「………」



俺は無言で歩いて、部屋の中央にあるソファーまで行くと、京介の向かいに腰を下ろした。



そんな俺を見て、京介はさして興味なさげに雑誌に目を戻す。



その態度がムカつく。



イライラして、立ち上がり京介の手から雑誌を取り上げる。



「あ、」



「あ、じゃねーよ」



キレ気味に言うと、京介がため息をつく。



イライラする。



なんで?



だって、葵が



葵があんなこと言うから。



『あたし、京ちゃんが好きなの』


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