蒼×紅
「う…討ち取れ！あの不届き者を討ち取るのだえ！」

店外に飛び出すと、"大名行列"と呼ばれる行進隊を組んでいた重三の部下たちが一斉に襲いかかってきた。

「ちょっと待っててね。」

男は相変わらず落ち着いた声で朝日にそう言うと、手を離して深く深呼吸をした。

息を吐くと同時に駆け出し、重三の部下たちの間を縫うように駆け抜ける。

彼が過ぎ去った後には誰一人として立っているものはおらず、皆一様に地面に伏せて呻き声をあげていた。

「うっ…。」

「後はあなた1人ですね。」

重三の前に立つと彼は、刀を鞘からゆっくりと払い、その銀色に輝く刃の切っ先を重三の喉元に突き付けた。

「そ…そなた！私にこんなことをして許されると思っているのかえ！？私は"桜組"組長の第１３長子…」

「あなたがどこの誰であろうとも」

彼は少し強めな口調で重三の言葉を遮って、喉元の刀を僅かに押し込んだ。

重三の首筋から僅かな一筋の血が流れた。

「僕は…僕ら"イージス"はいかなる権力にも屈しません。全てを守り抜いてみせます。」

「ひっ…ふっ…！」

重三は微かな呻き声を漏らしてゆっくり膝から崩れ落ち、口から泡を吹きながら失神した。


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