社長の溺愛・番外編



「むぅ~……、ちょこ!」



翼にとっては初めてのバレンタインらしく…目に見えてテンションの上がり具合がよく分かる


それからようやく翼が家出ならぬ家出をした意味が理解できた



「………お菓子、作りに来たのか?」

「うん!」



可愛いらしい返事に仕方ないと思う俺は相当ヤバいと思うがまぁ、いいだろう


期待に瞳を輝かせる翼を下ろせばトコトコとキッチンにいる母さんの元へと歩いていく


そんな後ろ姿を見てしまったら止めろなんて言えるはずなく俺はソファーでニヤニヤと笑みを浮かべる幸弘の隣に腰をおろした


あー、なんてため息混じりに声を発すれば直ぐに父さんが寄ってきて



「夕飯まだたべてないだろう?」



と言って返事もしてないのに料理を並べ始めた


どうやら俺が来ることを予測していたらしい母さんが用意していてくれたそうだ



「翼はいつ来たの?」



親しみ慣れた味に舌鼓をうちつつ、一緒に食事をする幸弘に問う



「学校が終わって家によって直ぐに来たんだよ」

「ふーん、でもなんでまたバレンタインなんて」

「学校で教えてもらったんだと~、好きなひとにチョコあげるって」

「へー、それでね」



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