社長の溺愛・番外編



「そういえば翼はご飯食べたのか?」

「まだ…だけど……」

「お腹空いてない?」

「………うん」

「はいだめー。父さん翼のご飯もお願いね」

「むうー……」



拗ねたように唇を尖らせ食べたくないと逃げようとする彼女を引き寄せて脚の間に座らせる


いくら彼女の生活習慣が整ってきたといっても長年培ってきた少食という癖は未だに直る兆しはない



無理に食べさせてはいけないとは思うが翼は時たま隠れて食事を抜くときがあるからこうでもしないといけない



「無理しちゃだめだよ、食べれるだけでいいから」



そう言って父さんが持ってきたご飯は俺が食べているものの半分程しかない


それでも翼は顔をしかめてまるでお願いでもするように見つめてくる



「そんな可愛い顔してもだめ、ちゃんと食べなきゃ大人になれないよ」

「やだ……」

「じゃあ食べようね」

「うー……」



ぷくっと頬を膨らまし未だ抵抗をしようとする翼は諦めたのか箸を持つ、が、しかし


出された料理をほんの少しだけつまんでずっともぐもぐと下を向いている


そんな彼女はとても可愛いのだが甘やかすわけにはいかない



「翼、あーんして」



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