社長の溺愛・番外編



左手の人差し指で後ろから可愛い唇を突っつくと素直に開かれる口


それを確認して俺は右手でおかずを一口箸でつまんで口の中へと運ぶ



「んー…」

「ちゃんと噛んで、そう。いい子だね」



非難の眼差し向けながらも言われた通りに口を動かした翼の頭を撫でると拗ねながらも嬉しそうに口角を上げている



こくん、喉が動いたのを確認して再び同じ動作で食べさせる


幸弘は気にも止めず持参したであろう仕事の資料に目をとおしながら器用に食事をしている


父さんはというと俺たちの様子をにこにことだらしない笑顔で眺めている



幾度かそれを繰り返した時に翼はもう食べれないとスーツを掴んでアピールする


依然として少量なのには変わりないが普段よりは多く食べられている



「頑張ったな、もういいよ」

「ふぅー……」



身体を俺の胸に預けて息を吐き出した


それをみて途中停止していた自分の食事を再開させる


食事を済ませ、最近は学校が行事などで忙しかったせいか疲れているらしい


それに加え今日はバレンタインだからといって休みもせずにここに直行だ



「翼、眠いなら布団に行こうな」

「ん…、いや、まだ寝ない」



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