社長の溺愛・番外編



次の日、学校の門から少し離れた所にきのう見たのと同じ車が停まっていた


ちょうどよくその場に居合わせた俺はふいに立ち止まってただ呆然とその光景を眺める



ガラス越しに見える顔は昨日同様の男前


酷く優しそうに笑って彼女の長い髪に触れる



「っ……」



きっと、普段の彼女なら何の反応もせずに終わるんだろう


そう思っていたのに、たった半日で彼女は彼に



―――恋する瞳を向けていた




不安定にゆらゆらと揺らしながら

まるで、何年か前の自分のような


恋する瞳を…


もう、だめだ終わりだ


こんなのが恋なら、叶わないのが恋ならもういらない


瞬間的に脳裏を駆け巡る荒々しい感情で無理矢理虚勢をはった

じゃなきゃ、もう泣きそうで


必死に拒否の言葉を並べた


車から出てくる彼女は相変わらず可愛く、じっとスーツを見つめるとくるりと身を翻す


校舎へと消える身体に、よく分からない微妙な感情


ちらり、生温い風にのせるように瞳を向けたのは車内のあいつ。



―――……負けだ



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