白銀の雪 〜星霜編〜
「異常は無いみたいね…」
森の見回りをしていた少女は呟く。
この少女はアミ、十七歳。
彼女は一族の中でも精霊の加護を特に受けた巫女であり、きっての戦士でもあった。
この長い黒髪の美しい少女は、森へ侵入する者を排除する役目を背負っている。
今は冥王軍が光界玉の存在を突き止め、集落を狙っているので、特に見回りは欠かせない。
アミは見回りを終わらせ帰ろうとした所、人影がある事に気付いた。
誰?冥王の手の者がまさかここまで?
アミは帯刀している小太刀をそっと鞘から抜き、気配を消しながら人影に近付いた。