愛はいくらで買えますか?【BL】

「とける、とける!
とけちゃうから受け取ってよ!」

……帰宅途中。
いきなり姿を消した鴇田を探していると、ずいっとアイスを差し出された。

何を勧められても
『いらない』
そう言って断ってきたけれど、流石にこれは受け取らずにはいられない。
彼はちゃんと自分の分を持っているし。


仕方が無く貰ったアイスを口へ運ぶと、その味に思わず頬が緩む。
そんな俺の様子を、鴇田は満足そうに見ていた。


「羽賀は、そうやって笑ってくれるよね」

「……笑ってほしいならいくらでも笑ってやるよ」


なんだろう、最近は呆れすぎていたせいだろうか。
その所為で彼がおかしくなっていたのか?

笑っていればいいのなら、いくらでも。
ニッと笑顔を作ってみせると、安心したのか彼も笑った。

そしてその笑顔のままで尋ねてくる。

「ねぇ、何か欲しいものは無い?」

……まだ続けるのか、それ。

< 11 / 18 >

この作品をシェア

pagetop