愛はいくらで買えますか?【BL】
きっと今の俺は、さっきの鴇田よりも酷い。耳まで熱を持っていそうだ。
「どうしたの?」
赤みは残るも、何でもなさそうに彼は尋ねる。
とりあえず場所を変えよう。ここから離れよう。
そう提案しようとすると、近くから声をかけられた。
「お幸せにー」
冷やかしとしか思えないその台詞に、鴇田は笑顔で応えている。
ああ、もう、こうなったら。
「俺がお前を愛して、幸せにしてやるからなっ!」
ヤケだ、ヤケ。
叫ぶように告げると鴇田は弾んだ声で返す。
「俺も、愛してるよ」
絶対幸せにするよ。とそう言われても、
俺はすでに彼より絶対幸せになってしまった。
宣言直後に負けている。完敗だ。