愛はいくらで買えますか?【BL】
「ごめんね。お菓子はあげるから、
このバカの事は無視してね」
女の子に鴇田の持っているお菓子を渡し、近くに居る保護者の元へ帰還を促す。
手を振る幼女と、笑いながら軽く頭を下げる母親。
今日もまた、俺の任務は完了だ。
これで鴇田が捕まる事は無い。
「羽賀(はが)、酷くない?」
しかし彼は恨めしそうに俺の名前を呼ぶ。
「どこがだ。不審者扱いされずに済んで、逆に感謝して欲しい位だね」
吐き捨てるように言うと、眉を下げて俺の服の袖を掴んでくる。
歩き出してもそのままで、トボトボとしたその足取りは迷子を彷彿とさせる。
……自分よりデカい迷子、を連れ、さてどうしようかと俺は考える。
何かコイツの好きな物でも食いに行こうか。
それとも……と彼の喜びそうな事を浮かべていると、しょげたままの声で彼は尋ねる。
「今日も俺は間違っていましたか……」
「ああ。どう見てもロリコンの変質者だった」
そう答えると、よりテンションは落ちたらしく、ぽすんと肩に頭が乗せられた。