愛はいくらで買えますか?【BL】
「楽しいけど、鴇田君の事は特別好きじゃなかった」
ごめんね、と笑って別れを切り出したのは、中学に入って2桁目に突入した後の何人目かの彼女。
この子もダメだった。
俺も彼女自身をそんなに好きな訳じゃなかったし、別に悲しくは無いけれど。
何でも買ってあげるし、
何処へでも連れてってあげる。
相手は楽しそうだし、俺は好きだよと言って貰える。
けどやっぱり長続きはしないし、
間違っているんだとも薄々気づいてた。
でも一時は楽しいし。
「またかよ、このバカ」
誰かと別れた後に、そう言って羽賀に髪の毛をぐしゃぐしゃにされるのも嬉しかった。
そして羽賀はどこか俺の好きな場所に連れてってくれる。
仕方ねえなって言いながら、傷ついているはずであろう俺を慰めてくれる。
短い幸せと羽賀の優しさが欲しくて、それを繰り返した。