ミルクチョコレート味の恋





さかのぼる事、20分前。







いきなり抱き抱えられた(お姫様抱っこ)私は保健室に連れてこられるなり、部屋の隅に設置されてあるベットにそっと降ろされた。





「ちょっと…いきなり何なの?」





私をここに連れてきた男の人を睨み付ける。



でも、男の人は何の気なしにニコリと笑って「いきなりじゃない。ちゃんと連れてくる前に言った。」私の前にしゃがみこんだ。



それによって私に膝まずく形になった男の人を見下ろす。





「な…に、」



「あー、ちょっと擦りむいてんな。」





私の膝辺りを見つめながら眉間に皺を寄せる男の人に少しだけ怖さを感じる。




そのまま両手で左の膝を覆い隠した。





「大丈夫です。」



「ダメ。」



「大丈夫ですから。」





首を振ってそんなに大したことはないから、と付け加える。



でも男の人はそれにもまた、「ダメ。」と言ってきて、向かい側にある棚の所へと向かった。



いいって言ってるのに。





私の言葉を全く聞かない男の人に頬を膨らませる。


頑固にも、程がある。





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