ミルクチョコレート味の恋
傷口を風にさらすと痛みが和らぐらしい。
初めて知ったな~。
感心しながら窓から射し込んでくる陽射しに丁度よく照らされている男の人の顔をジッと見つめる。
傷を手当てするその真剣な表情にまた、胸が高鳴った。
キラキラと輝くブラウンな髪。
その右側の前髪は目に少しかかるくらいまで伸ばされていて、それがまた、顔に影を作って色気が出ている。
上から射し込む光によって長い睫毛の影が頬にかかって、私より長いんじゃないだろうかと感じてしまう。
すっと通った鼻筋に、整った眉毛。
薄くも分厚くもない形のいい少し赤付いた唇に、目を反らしたくなって。
ゆるゆるとネクタイをかけられた第一ボタンが留められていないシャツから覗く鎖骨に、思わず目眩がした。
「はい、終わった。」
「……あ、ありがとう。」
カシャン、と道具をしまう音でハッと我に返り、ガーゼを当てられた膝を目にして小さくそう溢す。
それに「どういたしまして。」と私の頭をぽんぽん、とその場に立ち上がって軽く叩いてくる手にドキドキと心臓が騒ぎはじめたのが分かった。