ミルクチョコレート味の恋
すると、今まで目一杯に入れていただろう全身の力を一気に抜いて、綾がフラフラと壁に寄り掛かった。
「みや…お前って奴は……。」
「あー、うん。本当にぬけてるね。」
「ぬけすぎだから!!」
きっと綾が言うだろう言葉の先を綾に怒られまいと言ったのに怒られてしまった。
結局、ここは怒られるべき所だったらしい。
まぁでも、それよりショックが大きいのは
「あーー。名前聞いておけば良かったぁ!!」
綾が教えてくれた私の失態だ。
「今更、後悔しても遅いでしょ…。」
綾の言う通り、本当に今更な後悔を口にしているのは分かってるんだけれどやっぱり後悔というものは、し始めたら止まらないもので。
「名前ー!」
再びわりと響く廊下へと大声をぶつけた。
そして暫くそのままおかしい行為をしていると、廊下の向こう側からまだ20代前半っぽい男の人が歩いてきた。
好奇心旺盛な綾はそれにいち早く反応して、その男の人へと細めた目を向けてどんな人が向かってきているのかチェックしだす。