ミルクチョコレート味の恋
そこには私の顔を覗き込んでくる男の人の顔があった。
「…大丈夫か?」
急に飛び込んできた男の人の顔をガン見しながら硬直する私。
そんな私の右頬に手を添えて男の人は眉を垂らした。
「ごめん。たぶん今の俺のせいだ。」
「え、と。うん?」
何でこの人のせいなのか分からないけれど、困ったように眉を下げるこの人が何だか可哀想な気がして取り敢えず頷く。
それを見て、すりすり。
そのまま親指で私の頬を撫でる目の前の人。
優しく触ってくる"それ"に少しだけ身を捩る。
すると男の人は口元に笑みを浮かべて「可愛いね。」と耳元で囁いて―――――「キャッ!」あろうことか私の体を抱き抱えた。
「え…や、何っ!?」
バタバタと足を暴れさせながら抵抗を見せる私の膝の裏と背中をがっしりと掴んでいるその人は
「一応、どこも怪我してないか確認しておかないと。」
と呟きながらスタスタと校舎の中に入っていく。