心
「宮崎はさ、なんで、その…」
「無感情か?」
「っ、あ、あぁ…」
「こうやってあたしにかまってくるの、佐々木くんが初めてだよ」
「ワ、ワリィ」
「謝らなくていいよ。
うーん、いいよ。教えてあげる」
ニコリ微笑んだ宮崎は、ポツリ、ポツリと喋りだした。
「あたしね、お父さんに裏切られたの」
「え?」
「…あたしは、存在さえ、消された」
存在を、消され…た?
「お父さんね、浮気してたの。
表向きでは、ホントにいいお父さんだったよ?
お母さんとも仲が良くて。けどね、お父さんさ。
出張って言ったときは…他の女と会ってたの」
笑いながら話しているはずなのに…
「でね、あたしが小学生のとき、学校から帰ったときに、家の前で見ちゃった」
俺には、どうしてか…
「お父さんが、女の人と…出ていくところ。
それでね、聞いちゃった。2人の会話」
泣いているようにしか、見えなくて。