「女の人がね、
『あなたに子供がいなくてよかった』
って…。笑っちゃうでしょ?
あたし、お父さんに存在消されちゃってたんだよ?」
残酷な、真実。

「家の中に入ると、離婚届が置いてあった。
それを見た瞬間、現実なんだって、分って。
涙が止まらなかったの。
だけど、しばらくして…
泣くのさえ、疲れた。
もう、どうでもよくなったの。
だから、泣くのと逆のことをすればいいって思ったの」

なんで、笑っていれるんだ。

「その日からかな…。
もう、何もかもがどうでもよくなった。
楽しさも、嬉しさも、悲しみも、怒りも、愛しさも…
何も感じなくなった」

こいつは、1人で闇を抱えていたのか…?

俺は無意識に、

宮崎を抱きしめていた。
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