「無理、してんじゃねぇよ。
なんで、泣くのが疲れるんだよ。
泣きたいから、泣くんだろ。
楽しいから、笑うんだ。
嬉しいから、幸せなんだ。
ムカつくから、怒るんだ。
好きだから、愛しいんだ。
お前、今、悲しいだろ。
苦しいだろ。泣けよ」

「っ、」

宮崎の大きな瞳から、涙が一筋流れた。

「それでいんだよ」
「…ぅ…ホントは…ずっと、ずっと…辛かった!
存在を消されたことで、あたし全てを否定されたみたいで…!
大好きだったお父さんに裏切られて…っ!」

俺はギュッと抱きしめている腕に力を込める。

「愛されたかった!
お父さんに、愛され続けたかった…!」

「宮崎…っ!」

宮崎が溜めこんでいた悲しみが、溢れだした。



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