「送ってくれて、ありがとね」
「気にすんなって。
…なぁ、もし、朝迎えにきたら…迷惑?」
「っ!ううん。迷惑なんかじゃないよ。嬉しい」
「じゃぁ、明日迎えに来るな。メールすっから」
「うん、バイバイ」

雫を送り届け、俺は家へと帰った。

「ただいま」
「おかえり、優心。あら、あんたいいことでもあった?」
「え?」
「顔、緩みすぎ」
「マジ!?」
「何があったの~?白状しなさ~い」
「あ~~~、彼女。できたから」
「そ。彼女ね~って、彼女!?」
「うっせ…。悪いかよ」
「や、悪くないけど…あんた、能力のこと話してないでしょうね?」
「…話した」
「はぁ!?あんた、なにやってんの!!」
「大丈夫。雫は、誰にも言ったりしねぇよ。
それに、能力を持ってるって知っても、雫は俺を受け入れてくれたから。
もう、こんな奴になんて巡り合えねぇ」
「…そう。じゃぁ、その子のこと、ちゃんと大事にすんのよ」
「分ってる」


* * * *

―――俺は、全然分ってなんていなかった。

結局は、雫を傷付けたんだから。

雫は、いつだって俺を想ってくれてたのにな。

ごめんな、雫。



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