――授業中


俺は雫をじっと見ていた。

気づかねぇかな…。

なんて、思ってると――…
雫が、こちらを向いた。
そして、ふわり、優しく笑い…

「そんなに見ないでよ。恥ずかしいよ。
ちゃんと先生の話、聞きなさい」

と、言った。

「はーい」

そう言って、前を向いた。

チラリ、再び雫に目線を向けると、

バチッ、と視線が交わった。

「//」

こんな些細なことが、とても嬉しくて。

顔の緩みを抑えるのが大変だった。

「佐々木、なにニヤニヤしてるんだ」

――どうやら、抑えきれていなかったようだ。

< 25 / 88 >

この作品をシェア

pagetop