sideおじぃちゃん


「あたし、優心と出会う前…感情を、捨てていたんです」
雫ちゃんは、ゆっくりと、穏やかに話しだす。

「でも、優心が…あたしに、いろんな感情を吹き込んでくれたんです。
あたしは、優心といるだけで、感情が芽生えるんです」

優心の話をする雫ちゃんは、本当に感情がないのか、と思うほどに優しい顔をして。

「それに、あたし。作り笑い、得意なんで…!」
「っ、」
「あたし、今日はこれで失礼しますね。無理なお願い聞いて下さり、ありがとうございました」

雫ちゃんはそう言い残し、出て行った。

最後にみせたあの子の笑顔は、残酷なまでに……

――……綺麗だった。


< 73 / 88 >

この作品をシェア

pagetop