秘密。
泣いちゃうんじゃないかとか、引き止められるんじゃないか…って…。
そんな事されたら、僕はどうするんだろう…?
別に木庄さんの事は嫌いではない…。でも、カナコと違う好きって言うものでもない。
「ぉい、シノブ。今日は、外回りは終わったのか?」
「ああ…タケルはこれから? 朝の方が涼しかったよ。」
嫌味っぽく言うと、タケルはムゥ…と眉を寄せる。
朝が弱いタケルはいつも活動するのは昼から。朝の内に、書類を作成する。
僕とは全く逆の方法で仕事を進める。
そんなタケルがまだ、上着を着ていない事に気付いた。
「まだ出ないのか?」
「これから~。っつーかさ…その後、カナコちゃんとはどうなったんだよ?」
タケルの口から出てきたカナコの名前に僕は、ピクリと反応してしまった。