秘密。
だから、思わず視線を彷徨わせて声の持ち主を探す。



その持ち主はあっさりと見つかった…。



「……シノブ君…」






「カナコ…」










床に散らばった紙を知らない女の人と一緒に拾っていた。




ゃだ…。

やだ私…。




この気持ち…。醜すぎるわ!



胸から溢れるのはシノブ君の側にいる女性に向けられている。

醜くて愚かな『嫉妬』だ。



女の勘って嫌なものよね。知りたくなかった…。

女性の顔を見た瞬間にわかったわ。



この人は、シノブ君が好きなんだ。その上、シノブ君の顔を見たらこの人が、告白したって事も…。


やだ…。シノブ君は私の彼氏だよ?




盗らないでっ!! って叫ぼうとした私は、我に返って押し黙って顔を俯いた。…だって、嫉妬で醜くなった顔なんて誰にも見られたくなかったんだもの。特にシノブ君には…。





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