秘密。
「…わ、わかってる…。けどね…シ、シノブ君に、伝えたい事があって…ね……。お、怒らないで、聞いてほしいの」
そこまで言い切った私は、顔を上げてシノブ君を見る。
「…!!」
「悪いけど。今は、仕事中なんだ。話を聞く事が出来ない」
恐い形相だった。眉に刻まれた深いシワが私の恐怖をよりいっそう煽り立てる。
そのまま、シノブ君は給湯室を出て行こうと私に背中を見せた。その背中は今まで見た事もない…今まで大きくて頼りがいがあったのに、何でこんなにも寂しいんだろう…。
何だか置いていかれるような…そんな気分になっちゃう。
「ッ、シノブ君!! 待って、待って!」
カバンから私はロムを取り出した。
一瞬の躊躇。
だって、これを渡したらシノブ君と別れちゃうもの…。