秘密。
カナコが話そうとしたんだ…。
けど、僕はそれを拒んだ。彼女を拒んだ。
何も聞きたくなかった…。彼女の本当の事を…。
どうして、聞こうとしなかったんだ僕は…。
…あれは、僕が聞こうとしなかったんだ。カナコの隠し事を疑った。彼女がショウ…ショウカさんを男だと疑って、二股をかけられているって疑ったんだ。
考えてみれば簡単だったんだ。カナコが浮気をするなんてありえない。
いつの間にか、画面は真っ暗になって映像が終わった事を知らせていた。
「……坂上君…」
背後からかけられた声に、僕はその声の持ち主が誰かと分かっていた。
「何?」
息を何度か呑む気配。
何を言いたいか、僕には少し分かるようで分からない。
だから待つ。
彼女の言いたい事はなんなんだろう…。