秘密。
秘密 ⅩⅥ
会社を出た私に追いついたショウ君は、さっきから何も喋らない。
けれど、気にならない。
「…ごめんね? ショウ君」
「何が?」
「…何って、そう言うの苦手だったでしょう?」
そう言うのってのは、ショウ君の着ている女性らしい服。
始めて会った時もショウ君は男の子だと間違えちゃうくらいだったし、たいていパンツスタイルだったから、スカートとか苦手なんだよね?
「ん~…苦手ではないけど、自分から進んで着ないね」
「やっぱり…。本当にショウ君、今日はありがとう! それと、ごめんね? 私事に巻き込んじゃって…」
「フフフ~…気にしなくていいよ。まぁ、明日は仕事だから、もう帰らないとね」
「今度は、いつ会えるかな? …ぁ、何か彼氏に言うセリフだね」
「…そうだね。カナコちゃんも彼氏にちゃんと言うといいよ。…じゃ!」
駅方面に歩き出すショウ君の後姿を見送りながら私は、空を見上げると茜色に染まった空が秋に近づいている事を知らせてる。