秘密。
後の事は…ゆっくりと考えれば、いいや。
本当にシノブくんと別れる事になったら悲しいけど、新しい一歩を踏み出せれる切っ掛けになるんだ! そう思って、足を一歩踏み出した時…。
「っ、カナコ!! 待てよッ!!」
ぐぃ! と、強い力で後ろへ引っ張られた私はバランスを崩して…、重力に逆らう事なく後ろに倒れそうになって目をギュッと瞑ってある程度の衝撃を覚悟した。
…だって、痛いの嫌いだもん!
「キャ…ッ!」
痛みを想定していたけど…その痛みがなかなか来ない…。そっと、目を開いて辺りの様子を伺う。
体のどこも痛い所はなくて、夏の暑い風がビル谷間を吹き抜けていくのが分かる。
目を完全に開けるとそこには…。
「…シノブ、君……」
茜色の空の間にいるのはシノブ君…。
「大丈夫?」
「……ぅ、うん…大丈夫…」