秘密。
驚いたのか…それとも、怖かったのか…僕の腕の中でビクリと体を硬直させたけど、構わなかった。
「心配させないで…、僕はダイスケにカナコを譲るなんて嫌だからね? わかってる?」
カナコの耳元で囁くように喋れば、上着を掴む彼女の指が強く握られ白くなるのが見える。
けど、それを構う事なく…ダイスケに見せ付けるようにしている事も含まれているんだけど、続けて耳元で僕は話しだした。
「訳が分からないなら、僕の側にいればいいんだから。僕がカナコの側から離れる事は、10年後も20年後も…それ以上もないから…」
抱きしめたカナコが息を飲み込むのが分かった。同時に、ダイスケも同じように息を飲んだ。
「そ、それって…プロポーズ…?」
「…そ。プロポーズ。…もちろん、カナコが結婚したいって思った時でいいけどね。すぐにでも構わないよ? ダイスケに乗り換えられたら、後、3・4年は待ってなきゃ駄目だよ?」
「……はぃ?」