秘密。

……今の姿が姿だけに、どうも違和感を覚えてしまう。

メイドの服を着て、カバンを差し出す姿は誰がどう見てもメイドとしか思えない…。


「仕事が終わったら、メールか電話するから」

何だかテレるなぁ。と、思いながらカナコからカバンを受け取る。


「じゃ、…いってらっしゃい!」
「…いってきます」

でも、こうやって誰かに見送られるのは久しぶりで、何だか嬉しい半分、照れくさい。

「カナコの格好がメイドだから何だか変な気分だよ」
「…変?」
「いや。そんな事ないよ」
「だったら、そんな事言わないでよ!! はいはい、さっさと仕事に行ってよ!」


カバンを押し付けて部屋から追い出された。

追い出される瞬間見えたカナコの首まで真っ赤になったのが見えた。それが、僕の気持ちを煽る事だと言うのをカナコ自身知らないから困った。






だから、僕は決めた。


決意した事を心に秘めて、仕事場へ走り出す。



< 200 / 217 >

この作品をシェア

pagetop